西山実沙 アジア競技大会初選出 愛知・名古屋; 全日本選手権 NHK杯 2冠
【注目選手】体操 西山実沙 アジア競技大会 愛知・名古屋
【注目選手】体操 西山実沙 アジア競技大会 愛知・名古屋 愛知・名古屋開催のアジア競技大会の注目選手をシリーズで紹介。第5回は、体操の全日本選手権とNHK杯で女子個人総合2冠を達成し、一躍頭角を現した15歳の西山実沙に迫る。 アジア最大のスポーツの祭典、アジア競技大会が32年ぶりに日本に戻ってくる。 9月19日〜10月4日に開催される「第20回アジア競技大会(2026
愛知・名古屋)」は、愛知・名古屋を舞台に43競技でアジアのトップアスリートたちが熱戦を繰り広げる。 今大会の体操競技では、男女それぞれで団体、個人総合が行われ、種目別では、男子6種目(ゆか、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒)、女子4種目(跳馬、段違い平行棒、平均台、ゆか)が実施される。前回の杭州大会では、日本代表が男女ともに団体・個人総合で銀メダルを獲得し、種目別を含めると男女合わせて13個のメダルを手にした。 今年も複数メダル獲得への期待が高まる中、今季シニアデビューを果たし、全日本選手権とNHK杯の2冠を達成した15歳の西山実沙が初選出され、さらなる飛躍を目指す。 ここでは、彗星のごとく現れた高校1年生のホープ・西山に迫る。 西山実沙プロフィール - 名前:西山実沙(にしやま・みさ) - 生年月日:2010年9月7日 - 出身地:和歌山県和歌山市 - 競技種目:体操・個人総合 - 主な成績:世界ジュニア選手権(2025年個人総合3位、種目別ゆか優勝、跳馬2位)、全日本選手権(2026年優勝)、NHK杯(2026年優勝) 小学校低学年頃までさまざまなスポーツに親しんでいたという西山は、体操競技よりも前に、3歳から小学2年生までの約5年間ブラジリアン柔術に取り組み、体幹や身体能力の基礎を身につけた。 5歳のとき、3つ年上の兄の影響で体操教室に通い始めると、その魅力に一気に引き込まれ、小学校入学直前の6歳で育成コースに進み、本格的に競技の道を歩み始めた。 当時体操を始めた頃について、西山は自身のSNSで「日々の練習が楽しくて仕方なかった頃。この時期にしっかり養った『体操が楽しい!大好き‼』という気持ちが、私にとっては後の厳しい練習や大きな怪我を乗り越える原動力に繋がったんだと思います」と振り返っている。 小学2年生で初めて4種目(跳び箱、低鉄棒、平均台、ゆか)の試合に出場し、翌年には女子4種目(跳馬、段違い平行棒、平均台、ゆか)で本格的な試合デビューを果たした。小5・小6で出場したU12体操競技選手権では種目別・跳馬で2年連続優勝。この頃からすでに、現在の得点源となっている跳馬の強さを発揮していた。 2023年に中学1年生で全日本選手権に初出場し、個人総合12位。2024年は種目別で平均台3位、ゆか6位、2025年は個人総合6位、そして2026年に初優勝を果たした。NHK杯でも2023年16位、2025年6位、2026年に初優勝と着実に順位を上げ、日本女子体操界の中心へと駆け上がった。 昨季のNHK杯総合6位の結果により世界ジュニア代表の座を掴んだ西山は、初出場の世界ジュニアで団体戦2位に貢献したほか、個人総合でも3位に入り、種目別ではゆか優勝、跳馬2位と存在感を示した。それでも金メダルを目指して臨んだ個人総合の結果には「悔しさがあふれて涙が止まりませんでした。この悔しさをバネに、もっと強くなります」と振り返り、シニアでのさらなる飛躍を誓った。 練習で培った自信が導いたシニアでの飛躍 シニアデビューとなった2026年は、初戦となるカナダ国際(インターナショナル・ジムニクス/3月4〜8日)で、段違い平行棒と平均台の2種目を制覇。ゆかは減点が響き7位にとどまったものの、総じてシニアの舞台でも十分に戦える高い競技力を示した。 「新しい構成にも挑戦し、たくさんの学びになりました」という初戦を経て、4月の全日本選手権では、1日目首位発進の好調を維持し、パリ2024代表・岸里奈の最終種目ゆかでの猛追を0.104点差で振り切り、初優勝を果たした。「目標が1つ達成できた喜び」に、試合後涙を流した西山は、一躍日本女子体操界で脚光を浴びる存在となった。 多くの視線と期待を背負って臨んだ約1か月後のNHK杯では、その状況に飲まれることなく、冷静に4種目をまとめ上げた。 「去年までは優勝がかかるところにいなかったので、そこまでじゃなかったんですけど、今年は(全日本)1番通過(という目)で見られているとか、ちょっとプレッシャーを感じるところもあった。自分らしい演技をすることを第1に考えてやりました」と冷静に語った。 西山は、1日目を首位で折り返し、2日目も全種目で5位以上に入る安定した演技で初優勝を飾った。 鮮烈なシニアデビューを印象づけた2試合を振り返り、これまで積み重ねてきた練習が、世界の舞台への道を開く重要な局面を乗り越える糧になったと自身のSNSで綴っている。 「これまで何度も悔し涙を流してきた日々が、こうしてひとつの形につながったことが本当に嬉しいです」 「思うようにいかないこと、悔しくて前に進めないように感じたこともたくさんありました。それでも、そんな日々のひとつひとつが、今につながっているんだと思いました」 西山実沙の強さとは? 西山が強みとするのは、自身も「得点を稼げる種目」と評する跳馬と段違い平行棒だ。高いEスコア(演技構成や技術、姿勢など演技の出来栄えを評価した得点)を記録し、14点台をマークしてライバルを引き離してきたこの種目は、アジア競技大会でも大きな武器となるだろう。 憧れの選手にナディア・コマネチの名を挙げる西山は、そのコマネチが得意とした段違い平行棒で技を磨き、ヴィンクラーやアドラーといった高難度の技を習得している。 また、シニアデビューの年ながら、4種目すべてをまとめきる精神力も周囲を驚かせている。NHK杯では勝敗を決める最終種目のゆかで序盤にバランスを崩すミスがあったものの、その後はしっかりと立て直し、予選首位の座を守り切って完勝。「楽しんでできました」と笑顔で試合を振り返った。 15歳の新星は、今季の全日本選手権、NHK杯に続く3冠目を、9月のアジア競技大会でつかむことができるのか。 アジア競技大会の体操競技男女は、9月21日〜25日に名古屋市総合体育館(レインボーホール)で開催される。 西山の物語は、まだ始まったばかりだ。